鉛フリーはんだ カーボン・ソルダーのご案内

1. カーボン・ソルダーについて

カーボン・ソルダーとは、無鉛はんだに一定の条件のもとに炭素を加えた新たな無鉛はんだです。
従来、はんだには炭素を混ぜることは不可能とされていましたが、今回はんだに炭素を均等に混ぜることに成功しました。この炭素を付加した無鉛はんだをカーボン・ソルダーといいます。
炭素を添加することにより、はんだにおける金属結晶状態を小さくして、はんだ付けの接合面積を増大させることができました。これにより、はんだの強度、伸び、融点、伝導率を改善することに成功しています。
カーボン・ソルダーの特徴を活かし、現在使用されている有鉛はんだ、無鉛はんだに代わる低融点、高強度で無害なはんだを安価に供給できる可能性が生まれてきました。

SEM images of as-soldered joint of (a) Sn-3.5Ag and (b) Sn-3.5Ag + 0.03wt.%C.

一般に、はんだ付けの際、はんだ/基板の界面に金属相が形成されます。
金属間化合物は脆いので、これがはんだ付け部に厚く形成されると機械的性質が低下し、さらに導電性や耐食性などをも劣化させる原因となります。そのため、金属間化合物の成長の抑制が必要となります。結果から金属層の形成が確認されました。
カーボン添加していない界面はあらく不均一で、一つひとつの凸凹が大きいことがわかります。一方、カーボンを添加したはんだSn-3.5wt.%Ag+0.03wt.%Cは界面が細かく、形状が均一になっています。

2. カーボン・ソルダーの強度の測定結果

カーボンを添加した後のビッカース硬度の増加が観測されました。
Sn-3.5Agと比べて、0.03wt%カーボンの添加はんだの硬度は10.7Hvから13.4Hvに増加しました。
引っ張り強度は50%の増加を示しました。

Alloy ビッカース硬度 (Hv)
(±1.0)
引っ張り強さ (MPa)
(±1.0)
Sn-3.5Ag 10.7 18.0
Sn-3.5Ag + 0.03 wt.%C 13.4 27.0

カーボン・ソルダーの機械的強度改善の要因分析

  • Ag3Snの硬度はβ-Snより15倍、そしてはんだの共晶組織より12倍高いため、はんだの補強相となっています。
  • カーボン添加鉛フリーはんだの機械的性質の改善は材料の分散強化理論で説明できます。
  • カーボン添加によりAg3Sn相は微細化されて、より均一に分散されるため、はんだ合金の転位の運動を防ぎ、より強化されます。

カーボン・ソルダーの強度と伸びについて

一般的に機械的強度では、硬度と引っ張り強度は反比例であると考えられます。ところがカーボン・ソルダーで実験を行ったところ硬度、伸びともに著しい改善が見られ、現在使用されている鉛フリーはんだはもちろんのこと、鉛入り共晶はんだよりも優れた性質を持つことが明らかになりました。また、強度、伸び率は炭素量に比例して高くなることがわかりました。

3. カーボン・ソルダーの濡れ性の改善について

Sn-3.5Agにカーボンを添加することにより、はんだと母材の接触角が小さくなり、はんだの濡れ性がよくなることが分かりました。

Appearance of typical spread test specimen after spread test at 533K for 30 s and contact angle of solders before and after adding carbon

4. カーボン・ソルダーの融点について

融解開始と融解温度の両方はカーボンの添加により少し変化しました。
融解開始温度が221.2℃から219.0℃まで減少し、融点が222.0℃から221.0℃に移行しています。
Sn-3.5Agに炭素を添加することによって、融点はほぼ変化がなく実験結果では若干下がることが判明しました。現在、さらに融点の低いカーボン・ソルダーを開発中です。

DSC curves for (a) Sn-3.5Ag solder and (b) Sn-3.5Ag + 0.03wt.%C.